田口

新潟から来た東京の大学2年生

喫茶店

新潟の田舎から東京に越してきた自分はどの店に入ろうとも一歩目の足取りが重たい。

お昼時のファミレスでのバイトが終わり、家で作り置きのカレーを食べ終え、一段落ついた自分は、近くの喫茶店に出向いてみようと試みた。

しかし自分はわからない。まず、喫茶店という所謂シャレオツな場所にバイト終わりのだる着で立ち寄っても許されるのかということ。カゴのついた貰い物のチャリで行ってしまっても良いのか。店に入る時は、どんな顔して入れば良いのだろうか。こんなことが頭によぎってしまう。

可愛らしいツインテールの店員さんが向かい入れてくれた。カウンターとテーブルのどちらがよいか聞かれたが、だる着の気持ち寝癖で1人の男にそんなこと決める権利があってたまるのか。

どちらでもと答えた自分に対して店員さんは笑顔でテーブル席に案内してくれた。

お手洗いに行きたかったが、店に入ってすぐに用を足しにきた図々しい客だと思われるのが嫌だったため、注文してから少し時間を置いてから席を立った。

注文は自分との葛藤があったため、時間を要した。

メニューは大々的に季節限定のイチゴのスイーツを推していた。自分は国産フレッシュイチゴのパンケーキを頼みたかったが、さっきの店員さんにそれを頼むのが恥ずかしかった。ブレンドコーヒーをすかした顔をしながら注文したかったが、自分の欲には逆らえずに、すかした顔でイチゴのパンケーキを注文してしまった。

ちなみに、ブレンドコーヒーをすかして注文するのは、何も考えずに、いつもコーヒーを頼んでいるからとりあえずこれで、という感じがあると思うが、自分の、イチゴパンケーキをすかした顔で注文するのは、俺みたいなのがイチゴパンケーキ注文したらなんかダメなのか?何見てんだよ、ごら。の意味が込められている。そのため、コーヒーをすかした顔で頼むのと、イチゴパンケーキをすかした顔で頼むのでは全く状況が異なるのだ。

パンケーキはとても美味しかった。付属の練乳は全部かけたらカッコ悪いので、半分くらい残した。

買ったばかりの文庫本を読みながら、やっぱりコーヒーを片手に文庫本を読んでいる自分に憧れてしまい。ブレンドのコーヒーを頼んだ。これでパンケーキのカッコ悪さを緩和することができる。ミルクでコーヒーの苦味を薄めるように。

そんな自分に店員さんはいつでも笑顔だった。ミルクを入れたコーヒーにさらに一杯の砂糖を加えて啜った。

店員さんを時折眺めながら文庫本を50ページほどめくった。飽きがきてこのブログを初めて書き始めたら、夢中になってしまった。3時間も居座っている暇人だと思われたくないため、ここら辺で出よう。